日本赤十字社茨城県支部ホーム赤十字について赤十字と国際人道法

赤十字と国際人道法

国際人道法とは

武力紛争(戦争)において、負傷したり病気になった兵士、捕虜、そして武器を持たない一般市民の人道的な取り扱いを定めた国際法です。「国際人道法」という名称の条約は存在せず、「1949年のジュネーブ四条約」、「1977年の二つの追加議定書」「2005年の第3追加議定書」を中心とした、様々な条約と慣習法の総称が「国際人道法」です。

国際人道法のあゆみ

スイス人のアンリー・デュナンの人道精神に基づいて、1863年に赤十字国際委員会(ICRC)の前身となる「5人委員会」が成立し、翌年、ジュネーブにおいて開催された外交会議において、陸戦における傷病兵の保護を定めた最初のジュネーブ条約が結ばれました。この条約により、各国は、軍の衛生部隊の補助の役割を果たすような救護組織を設けることを定めたことが、各国赤十字社の始まりとなりました。また、傷病兵の救護にあたる者を保護するため「白地に赤の十字」の標章をつけることとしましたが、これが、赤十字の始まりとなりました。その後、ジュネーブ条約は改正を重ねましたが、第二次大戦後、大戦の反省に基づいて「戦争犠牲者保護のための国際条約決定のための外交会議」において以下の四条約が採択されました。

  • 第1条約:
    「戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーブ条約」(陸の条約)
  • 第2条約:
    「海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーブ条約」(海の条約)
  • 第3条約:
    「捕虜の待遇に関する1949年8月12日のジュネーブ条約」(捕虜の条約)
  • 第4条約:
    「戦時における文民の保護に関する1949年8月12日のジュネーブ条約」(文民保護の条約)

これらを総称して「1949年のジュネーブ四条約」といいます。これらの条約には、冷戦という国際的な対立があったにもかかわらず、成立後のかなり早い時期に主要国が締結国となりました。しかしながら、第二次大戦後は、国家間の武力紛争よりも国の中で起こる武力紛争、すなわち内戦や植民地独立のための紛争が数多くおこりました。これらの武力紛争における犠牲者の保護は、1949年のジュネーブ四条約においては非常に限られたものだったので、ジュネーブ四条約を補完する条約を制定する必要がでてきました。そうして出来たのが1977年の三つの追加議定書です。

  • 第1追加議定書
    「国際的武力紛争の犠牲者の保護に関し1949年8月12日のジュネーブ諸条約に追加される議定書」167ヵ国
  • 第2追加議定書
    「非国際的武力紛争の犠牲者の保護に関し1949年8月12日のジュネーブ諸条約に追加される議定書」163ヵ国
  • 第3追加議定書
    2005年、12月8日採択、2007年1月14日発効

2008年5月現在、国連加盟国が191ヵ国である中、1949年のジュネーブ四条約締約国は194ヵ国となっており、このジュネーブ四条約は世界共通のルールであると言っても過言ではありません。1977年のジュネーブ条約追加議定書については、日本政府が2004年6月第159回通常国会にてジュネーブ条約第1及び第2追加議定書への加入を承認し、8月31日に正式に加入、2005年2月28日に日本において両議定書が発効しました。

国際人道法Q&A

Q 国際人道法は必要なのですか?
A 国際人道法は、戦争がおこった時に犠牲者を保護するものです。戦争は国連憲章で禁止されていますが、現実には戦争は世界各地で起こっており、傷つく人々がいます。そのような現実の中で、犠牲者の苦痛を少しでも軽減するために国際人道法が必要なのです。
Q 国際人道法と人権法の違いは何ですか?
A 国際人道法も人権法も目的は人間の生命や尊厳の保護にありますが、次のとおり区分されます。
(国際人道法)成立:19世紀半ば、赤十字の呼びかけで成立/適用の時:武力紛争時/内容:戦時における戦闘の手段と方法の規制と戦闘員や文民の保護を規定している。
(人権法)成立:第二次戦後、国連主導で成立/運用の時:平時/内容:個人の国家権力からの自由と保護を規定している。
Q 国際人道法に違反すると処罰されますか?
A 国際人道法に違反する行為を「戦争犯罪」と呼び、ジュネーブ諸条約は戦争犯罪人を罰するよう、条約の締約国に求めています。しかし、これまでは、戦争犯罪人が罰せられることはほとんどありませんでした。そこで、1998年、戦争犯罪人を処罰する常設の裁判所を設置する条約(「国際刑事裁判所設置に関するローマ規程」)が結ばれ、2002年にはこの条約が発効し、常設の裁判所が設置されることとなりました。
Q なぜ、1977年の「追加議定書」を「追加条約」と呼ばないのですか?
A 国と国の約束事を「条約」と呼びますが、「条約」という用語を使わず、「議定書」、「憲章」、「規約」という用語でも「条約」と同じ意味を持ちます。「議定書」は「条約」に追加・変更する事柄に使われる傾向にあり、1977年及び2005年の追加議定書もこのようなことがらの一つです。
Q なぜ、日本はジュネーブ四条約に「加入」した、というのでしょうか?
A 通常、国が条約に入るためには、まず、条約に「署名」して、その後にその国の国家元首や議会が条約に同意=「批准」しなくてはなりません。しかし、何かの理由で条約に「署名」しなくても、その条約に同意をすることができます。そして、そのような同意を「加入」と呼びます。日本は1949年に連合国の占領下にあったため、ジュネーブ四条約に「署名」することはできず、1953年、同条約に「加入」することとなりました。

このページの先頭へ戻る

Copyright© 2012 Japanese Red Cross Society Ibaraki Chapter, All rights Reserved.